前回の投稿で紹介したように、ベトナムは 4000 年の歴史を持つ国です。1000 年間中国支配を受け、61 年間フランスの植民地になり、10 年間アメリカと戦争を行い、1975 年にベトナムは統一されました。他国による侵略と戦い続けていく歴史はベトナム料理に非常に影響を与えました。

今回はベトナム料理は中華料理とフランス料理からどのような影響を受けたのかを紹介していきたいと思います。

① ベトナム料理:中華料理の影響

⑴ 発酵調味料、米、大豆の食文化、お箸や茶碗の使用

ベトナムの北方は中国と接しています。

紀元前 111 年から紀元後 938 年にかけて、中国の歴史でいう漢から唐までの間に、中国による 1000 年北属支配を受けました。中国の唐の時代には、安南都護府が現在のハノイにおかれました。 ハノイ近郊には中国から陸路で渡来し、宗教や工芸技術が広められました。しかし、 17 世紀に入ると、明の滅亡により船に乗って華南から新天地を求めて、華人が南部デルタ 地帯に永久移住しました。ベトナムには長い海岸線に沿って良質な港が点在し、華人たちが居住するところには関帝廟、媽祖を祀る 祠や同郷会館などが建てられ、 独自の中華世界を形成していました。現在、南部のホーチミン市最大の華人街チョロンは 40 万以上の人口規模を誇る街です。

(参考文献:信田2019、p.18)

 ベトナムの中華街

Taken by Verbalicious

中国に支配された長い歴史、地理的に広西チワン族自治区や、広東省、福建省など隣接することにより、ヌックマム(魚醤)などの発酵調味料を使うことや、お箸や茶碗などを使い、そして中国の華南同様の米食文化で、麺類や春巻きの皮などを小麦ではなく米から作ることなどベトナム料理は中華料理の影響を強く受けました。

ベトナムの大豆・コメ

ベトナムのお箸・お茶碗

Taken by Huong Pham

(2) 喫茶 (緑茶)

さらに、中国と関連で、もう一つ特徴的なのは喫茶の文化です。ベトナムでは一般的なお茶は緑茶で、日本と似ています。また、中国でも緑茶はよく飲まれます。しかし、お茶を作る方法には様々な種類があります。日本で多いのは摘んだ茶葉をすぐに蒸すことですが、中国とベトナムでは釜炒りという方法を使っています。大きな釜を熱しておき、そこに生の茶葉を入れて加熱。これが中国やベトナムの緑茶のスタイルです。

ベトナムの緑茶

ベトナムの茶畑

Taken by Danurwendho Adyakusuma

② ベトナム料理:フランス料理の影響

1887 年から 1945 年にかけて、ベトナムはフランス領インドシナとなりました。フランスに統治されていたこの時代に、ベトナムの民族衣装であるアオザイをフランスの自由奇抜なセンスが取り入れられ、今までの正装という概念にファッション性が入るようになりましった。そして、食文化の面から見ると、現在のカフェ文化やバインミーなどフランス料理が流入しました。

ベトナムのアオザイ

Taken by Cuong Doan

⑴ バインミー

フランスの食文化がベトナム に根付き 、ベトナム 料理は多様な進化を遂げてきました。その中で最も有名なものがバインミーで、フランスパンにベトナムのローカルな食材を挟んだサンドイッチです。通常のフランスパンに比べ、外側はサクサク、中身は空洞が多くて、軽い食感。そして、フランスの影響により、新しい味、成分、組み合わせがもたらされます。今やベトナム人の朝食や小腹を満たすスナックの定番です。

フランスパン

ベトナムのバインミー

⑵ コーヒー

コーヒーを飲む習慣もフランスの植民地による影響であり、定着しました。

ベトナムでは 19 世紀のフランス植民地時代、コーヒーの木がフランス人の宣教師に持ち込まれ、ベトナムの北部で実験的に栽培が始まった。その後、コーヒーの木の栽培は徐々に南中央高地と南東部に広がりました。中央高地がコーヒーの木を育てるのには最も適した場所だと確定されたのです。

当初はフランスへの輸出用でしたが、ベトナム人の間でも徐々に飲まれるようになりました。現在ではベトナムは、ブラジルに次いで世界第2位のコーヒー輸出国となり、他の東南アジア諸国とは比較できないくらい、コーヒーが愛好される国になっています。

バンメトート・ベトナムの最大のコーヒー産地

ベトナムのコーヒー

世界的にもっとも栽培が多いのは、アラビカ種で、約9割を占めます。しかし東南アジアで栽培されるのは、ロブスタ種が多いです。ベトナムのコーヒーもこロブスタ種です。

ベトナムコーヒーの一番ユニークなのは、コーヒーの淹れ方と思われます。ベオナム人はアルミ製の独特な形状のドリッパーには、下の方に小さい穴が開いています。店で頼むと、カップの上にそれを置き、コーヒーの粉をいれ、お湯を注ぎ、蓋をしてお客様の前に出します。お客様はコーヒーが落ちてくるのをゆったりと待ちます。

ドリッパーは直接、穴が開いているので、当然、粉も少々紛れ込みます。そのためコーヒーは濃いめです。この濃いコーヒーを少量飲むというスタイルは、フランスでよく飲まれているエスプレッソとの関連があるようにも感じます。

しかしそのままでは苦いため、コンデンスミルクを底に敷き濃いコーヒーを注ぎ飲む飲み方もあります。

⑶ プリン (バインフラン)

ベトナムのシンプルなプリンです。 このデザートは柔らかいプリンの上にコーヒーまたはカラメルソースで冷やします。ベトナム人はカスタードベースを作るときに混合物に若干のココナッツミルクを加えるアレンジをします。 このプリンが誕生して以来、全土で信じられないほどの人気を博し、地域により様々な名前がつきました。 ベトナムの北部ではカラメルと呼ばれ、 ベトナムの南部ではバインフラン(ベトナム語のバイン+フランス語のフラン/Fran)と呼ばれています。

ベトナムのバインフラン

③まとめ

このようにベトナムの食文化は中華料理とフランス料理から多大な影響を受けています。

今回紹介したベトナム料理は日本人にも受け入られ、日本でも食べることができます。

歴史や文化を知ってから食べてみると、また違った楽しみ方や発見ができます。

それぞれの地域で食文化が発達した美味しい料理から、ベトナムの文化に触れてみてはいかがでしょうか。


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